蓄電池は、導入するメリットが大きい一方で、コスト面がネックになり設置が難しいケースもあります。しかし、多くの都道府県や自治体は蓄電池を購入する際に利用できる補助金制度を展開しています。当記事では、蓄電池の補助金制度についてご案内します。
蓄電池と太陽光発電を組み合わせることによるメリット
蓄電池とは、充電した上で再利用可能な二次電池のことです。太陽光発電システムを導入する際、この蓄電池が一緒に導入されることがあります。蓄電池と太陽光発電システムを組み合わせることで、太陽光発電システム単体で導入する場合と比べ、より大きな節電・省エネ効果が期待できます。
まず、蓄電池の「電気を貯めることができる」という性質を活かし、雨や曇りの日でも蓄電しておいた電気を利用することで、天候に左右されるという太陽光発電のデメリットを補うことができます。また、夜間でも同様に蓄電池に貯めておいた電気を使用することができるため、さらなる節電・省エネに繋がります。
蓄電池購入の際の補助金制度の概要
前述のとおり、蓄電池によって太陽光発電システムをより有効に活用することができますが、蓄電池の価格は、決して安いものではありません。構成内容や規模などによって異なりますが、100〜250万円程度は必要となります。しかし、補助金制度を活用することで蓄電池導入のコストの一部を補填することができます。
2020年度に受け取ることが可能な蓄電池の補助金には、国からの補助金と地方自治体からの補助金の2つが存在し、これらは併用が可能です。
蓄電池購入の際に申請できる国からの補助金
SII補助金とは
まず、国(SII/環境共創イニシアチブ)から交付されている蓄電池の補助金として、SII「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業比補助金」(以下SII補助金)があります。現在、蓄電池の補助金の中でも代表的ともいえる補助金であり、受け取れる補助金の上限は60万円です。
SII補助金は容量に応じて支給される補助金と、工事費に対して支給される補助金に分かれており、それぞれの金額は蓄電池の種類や容量によって異なります。蓄電池には、災害対応型、ネットワーク型、周波数制御型の3種類があり、以下それぞれについて紹介していきます。基本的に容量が大きければ大きいほど補助金の金額も大きくなりますが、先述のとおり60万円という上限が定められていることに注意が必要です。
災害対応型蓄電池の補助金について
「災害対応型」蓄電池とは、太陽光発電によって作られた電気を、災害時に優先的に蓄電池に貯める「グリーンモード」への切り替えが可能な蓄電池のことを指しています。「グリーンモード」への切り替えは定置型の蓄電池であれば基本的に搭載されている機能であるため、この「災害対応型」には、ほぼすべての蓄電池が含まれます。
「災害対応型」蓄電池の補助金の金額は以下の通りです。
- 1kWhあたりの補助金額:2万円/kWh
- 工事費に対して支給される補助金額:工事費の1/2以内(上限5万円)
ネットワーク型蓄電池の補助金について
「ネットワーク型」蓄電池とは、「災害対応型」蓄電池の要件を満たし、かつVPP(※)に参加し、ネットワーク機器を経由して監視制御を行う蓄電池のことです。
※VPP:バーチャルパワープラントの略称であり、各地の蓄電池や太陽光発電といった施設をまとめて活用し、発電所と同等の機能を持つ「仮想発電所」のことを指します。
「ネットワーク型」蓄電池の補助金の金額は以下の通りです。
- 1kWhあたりの補助金額:3万円/kWh
- 工事費に対して支給される補助金額:工事費の1/2以内(上限7.5万円)
周波数制御型蓄電池の補助金について
「周波数制御型」蓄電池とは、「ネットワーク型」蓄電池の要件を満たし、かつVPPにおいて、「一次調整力相当または二次調整力①」(※)相当の需給調整機能を実証する蓄電システムのこと、となっています。一次調整力相当または二次調整力①について、要約すると、ネットワーク型蓄電池の中でも素早く柔軟に対応できる蓄電池です。
※「一次調整力相当または二次調整力①」については、以下をご参照ください。
https://www.jema-net.or.jp/Japanese/res/hems/data/hems_006.pdf
「周波数制御型」蓄電池の補助金の金額は以下の通りです。
1kWhあたりの補助金額:4万円/kWh
工事費に対して支給される補助金額:工事費の1/2以内(上限10万円)
地方自治体からの補助金
補助金の金額や条件は自治体により異なります。地方自治体からの補助金を活用する際は最新の情報をチェックしておくことが大切です。ただし、補助金には基本的に予算が設定されているため、補助金の申請期間中でも、予算額に達した場合は受付終了となってしまうことに注意しましょう。
以下に、2つの地方自治体の例をご紹介します。
地方自治体からの補助金の例:東京都
東京都の2020年度の蓄電池への補助金は、機器費の1/2(上限あり)を支給するという内容のものでした。予算額は42億円で、2020年1月15日~2月29日が申請期間であり、予算額に達し次第終了というものでした。2020年度の受付は終了していますが、2021年に東京都に蓄電池を導入する際は、以下のサイトなどを参考に、早めに確認しましょう。
東京都地球温暖化防止活動促進センター:家庭に対する蓄電池等補助事業
https://www.tokyo-co2down.jp/individual/subsidy/chikudenchitou-hojyo/
地方自治体からの補助金の例:兵庫県
兵庫県の2020年度の蓄電池への補助金は、蓄電池単体の場合は定額4万円、太陽光発電システムと蓄電池を同時に設置する場合は定額10万円支給するというものでした。予算は2000万円であり、2次募集が2020年8月3日~2020年11月13日であり、2020年8月21日現在は申請を受け付けています。
まとめ
蓄電池の導入には、国からのSII補助金は最大60万円受け取ることができ、さらに地方自治体の補助金と併用が可能です。こまめに補助金の申請時期や予算、条件等について最新の情報を入手し上手く活用して、蓄電池の導入コストを抑えることが可能となります。
太陽光発電システムを導入するだけでも省エネ効果が期待できますが、蓄電池を併用することで、陽が出ていない時間は蓄電池の電力を用いることが可能となり、一層の省エネ効果につながります。また、蓄電池の導入には数百万円が必要となる場合もありますが、先述した補助金を活用することで、費用を抑えることも可能です。
補助金を有効に利用し、地球にやさしい生活をはじめてみるのも良いかもしれません。