太陽光発電の売電価格は年々変化しており、そこには導入コストの変化などが背景にあります。補助金制度も頻繁に変更されており、常に最新の情報を把握することが求められています。この記事では、2020年9月現在における最新の太陽光発電の見通しについて説明していきます。
2020年現在、太陽光発電のさらなる普及のため必要なこと
地球温暖化をはじめとする環境問題対策やエネルギー安全保障の観点から、日本では再生可能エネルギーの普及促進に力を入れてきました。その中でも特に太陽光発電の普及が進んでおり、今後も進んでいくと考えられています。
太陽光発電普及の課題となるものはいくつかありますが、時間とともに改善されてきています。以前は太陽光発電の導入のためには補助金を活用しないと負担額が非常に高かったのが、今では補助金がなくても導入可能な金額になってきました。この初期コストの負担軽減が普及の推進力になったという面もあります。
しかし、2020年現在ではまだ再生可能エネルギーの普及は十分とは言えません。今後の更なる普及のために必要なことを紹介していきます。
導入コストの低減
先述のとおり、太陽光発電システムの導入費用は低減を続けています。あくまで概算ですが、10年前と比べて半分程度の金額まで減少しました。しかし、今後のさらなる普及のためには、今以上に導入コストの削減が求められます。
太陽光発電の設置には太陽光発電パネルや架台の設置費用以外に、電気を貯めておく蓄電池の設置にかかる費用や、土地の造成費用、送電線との接続費用などが発生します。太陽光パネル以外の費用も含めて総合的に低減していくことが必要です。
発電コストの低減
発電コストは、1kWhの発電にかかる費用を指します。太陽光発電のための設備にも経年劣化は存在するため、発電コストを低減するには、発電設備の維持管理費の低減も重要です。特にパワーコンディショナーは太陽光発電システムの中では比較的早く交換が必要になるため、メンテナンスを適切に行い、その費用を低減させ、機器の長寿化を図る必要があります。
各種技術面の改善・改良
太陽光発電設備の低価格化や長寿化のためには、技術面での進化が不可欠です。他にも、技術の進歩によって設置困難な場所でも低コストで設置が可能になったり、天候の変動を予測し、電力不足が起こらないように、出力と蓄電のバランスをとったりすることが期待されています。
ここまで述べてきたように、太陽光発電の普及のためにはまだまだ改良の余地があります。しかし、導入コストが低下していることからも、コストや技術面の進歩が進んでいることが伺えます。国としても再生可能エネルギーの割合をさらに上昇させていく方針であり、これらの改善は進んでいくと予想されます。
太陽光発電の導入における今後の動向
導入費用の低減
太陽光発電の導入費用が低下してきています。太陽光発電システムの1kWあたりの費用も、4年間でおおよそ10万円下がっており、今後もその傾向は続くと考えられます。同時に設置されることも多い蓄電池も高額な設備でしたが、以前と比べると比較的安い製品や高性能な機器も登場しています。
設置方法の多様化や、設置に必要な場所の制約が減少
技術の進歩により太陽光発電パネルの発電効率が向上しているため、面積当たりの発電量が増加してきています。これによって、屋根の面積が小さい住宅でも十分な発電量を確保することが可能になりました。今後もさらに発電効率の向上が進めば、より小さな面積での設置が可能になると考えられます。
また、太陽電池の薄型化やフレキシブル化によって、設置する場所の制約が少なくなってきています。今後は建物の壁面やカーポートの屋根の上といったところにも設置されることが増えていくかもしれません。
売電価格も導入コストも低下
太陽光発電の導入の目的が、売電による収益であることは少なくありません。しかし、売電価格は年々下降しています。この売電価格の下降のために太陽光発電の導入をためらう方もいるかもしれません。
この売電価格の下降には、FIT法(固定価格買取制度)が関連しています。FIT法は、発電事業者が太陽光発電の導入にかかった初期コストを回収する目的で、一定期間売電価格を保証するという制度です。
先述のとおり、太陽光発電の導入コストは下降傾向にあります。導入にかかった初期コスト回収が目的の制度である以上、同時に売電価格も低下しているという背景があるため、売電価格の低下が導入のメリットの喪失に直接結びつくわけではありません。今後太陽光発電を導入する際は、このような売電価格下降の意味を理解した上で検討を進めていくことが重要となります。
FIT制度から「FIP制度」へ
これまでは太陽光発電の売電はFIT制度に基づいたものが主流でしたが、今後は「FIP(Feed-in Premium・フィード・イン・プレミアム)制度」が実施される可能性があります。FIP制度で受け取れるのは、「実際に電力を販売した価格+割増金(プレミアム)」です。
FIP制度の目的は、再生可能エネルギーの自立を後押しし、自由競争を促すことであるため、FIP制度が実施されると発電事業者は市場競争に参入することになり、設備開発費などの負担が増大する可能性があります。日本は現状再生可能エネルギーの普及をさらに進める必要がある段階であるため、すぐにFIP制度が実施されるとは考えにくいですが、将来的に実施される可能性はあるでしょう。
まとめ
太陽光発電の普及が進み、以前と比べて導入コストの低下など技術の進歩も見られますが、2020年現在においては今後更なる普及のために改善・改良の余地があります。国も再生可能エネルギーの割合を上昇されていく方針であり、今後も技術の進歩は進んでいくと考えられます。
今後売電価格が低下しても、導入コストの低下に伴うものであるため、太陽光発電導入のメリットが失われていることにはつながりません。コストの低下や技術の進歩が進んでいる今こそ、太陽光発電導入を検討してみてはいかがでしょうか。