パワーコンディショナーは太陽光発電に不可欠な機器です。太陽光発電を導入する場合は必然的に併設されますが、その役割や選ぶポイントがわかりづらいと感じている方もいるかもしれません。この記事では、パワーコンディショナーの機能や選ぶポイントについて紹介します。
パワーコンディショナーの役割とは
パワーコンディショナーは、太陽光発電による電力を、家庭で使用できる電力に変換する機器のことで、パワコンやPCS(Power Conditioning System)と略されて呼ばれることもあります。
家庭で電力を使用する際、電力会社からは「交流電力」が送電されてきていますが、太陽光発電による電気は「直流電力」であるため、そのままの状態では家庭で利用することができず、変換が必要となります。
直流電力から交流電力への変換効率は100%とはいかず、エネルギーのロスが生じています。この変換効率については後述します。
パワーコンディショナーの主な機能
パワーコンディショナーは前述の電力の変換に加えて、「最大電力点追従機能」「系統連系保護」「自立運転」といった3つの主な機能・役割を担っています。
最大電力点追従機能(MPPT)
太陽光発電には、日照時間や天候によって発電量が左右されるというデメリットがあります。しかし、発電量が不安定になってしまうような状況下でも、より多くの電力を安定して供給できるよう調整しているのがパワーコンディショナーです。
太陽光発電は、電流と電圧が一定の組み合わせの時にしか発電できません。天候によって電圧と電流が変動した際は、電力を安定して供給できるように発電し発電量が最大となるよう、パワーコンディショナーが電圧と電流を組み合わせて調整します。
系統連系保護
系統連系保護も大切な機能の一つです。電気を安全につかうために不可欠な機能です。系統連系とは、電力会社の電力系統に接続することをいいます。系統連系により、電力会社から電気を買ったり、太陽光発電で生成した電力を売電できるようになります。
電力会社が供給する電力は、周波数・電圧などを一定に維持していますが、発電機能を有した住居や施設などで発電・使用する電力がその周波数・電圧に合っていないと、対象の住居や施設だけではなく、地域全体を巻き込んだ大きな事故に発展してしまうリスクがあります。
これらの事故やトラブルを防ぐため、パワーコンディショナーには、周波数の上昇や低下、過電圧・電圧不足、系統電力の停電などを検出して、太陽光発電のシステムを電力会社の電力と切り離す機能が備わっています。
自立運転
自立運転機能とは、停電時でも太陽光発電で生成した電気を使用できる機能です。この機能がないパワーコンディショナーの場合、せっかく発電していても停電時に貯めた電気を利用できないため、災害時の非常用電源として太陽光発電システムを使う場合は必須の機能になります。
パワーコンディショナーを選ぶポイント
パワーコンディショナーを選ぶ際のポイントについて解説します。予算の都合などにより、選択肢が限られているというケースもあります、同価格帯の製品の中でどのような項目に着目し、選定を進めるべきかの参考にしていただければと思います。
変換効率
変換効率はパワーコンディショナーを選ぶ際の基準の一つとなります。パワーコンディショナーにおける変換効率とは、直流電力から交流電力へ変換する効率を示したもので、変換効率が100%に近いほど、変換時のロスが少ないことを示しています。変換効率の相場は95%~97%程ですが、変換効率98%というパワーコンディショナーも存在します。
価格
太陽光発電パネルとパワーコンディショナーをセットで購入する場合は、システム全体の価格で考えるため、パネルやメーカーによって大きく異なります。1社のみから提示された価格だけではなく、数社からシステム価格の見積りを検討することが重要です。
以下、パワーコンディショナー単体の参考価格となります。
3.0kW 10〜11万円
4.0kW 12〜14万円
4.4kW 15〜19万円
5.5kW 16〜22万円
最大定格出力
最大定格出力とは、パワーコンディショナーが出力を行える電力の最大値のことです。太陽光パネルの出力がパワーコンディショナーの最大定格出力を上回っている場合、上回った分の電力は家庭で使用可能な電力に変換されず無駄になってしまうため、パワーコンディショナーの最大定格出力と太陽光パネルの定格出力の両方をチェックする必要があります。
保証
パワーコンディショナーの保証内容や保証期間もポイントの一つです。少し前はパワーコンディショナーのメーカー保証は10年程度がほとんどでしたが、最近では有償も含めると15~20年といった保証を設けているメーカーもあります。
大きさ・設置場所
パワーコンディショナーの大きさは容量によって異なります。住宅用の場合は小型のエアコン程度のものが多いですが、配線の都合上ブレーカーの近くにしか設置できないこともあり、設置スペースが確保できるかどうかのチェックが必要です。
まとめ
パワーコンディショナーは普段操作することはあまりなく、機能や役割について気にしたことがないという方もいるかもしれません。しかし、20~30年と言われている太陽光パネルの寿命に対して、パワーコンディショナーの寿命は10~15年と言われています。つまり、一般的には太陽光パネルの交換前にパワーコンディショナーを交換する必要が出てきます。
パワーコンディショナー単体を購入する場合も太陽光パネルとセットで購入する場合も、役割や機能を踏まえた上でしっかりと比較検討して、太陽光発電の効果を最大化していきましょう。