蓄電システムは従来高価で大型のものが多く、産業用がほとんどでしたが、技術の進歩により、一般住宅でも使用可能なものも増えてきました。家庭用蓄電システムは、太陽光発電システムと組み合わせることで大きな力を発揮します。この記事では、家庭用蓄電池システムの導入の検討のために、役割やメリットなどをご紹介します。
家庭用蓄電システムとは
家庭用蓄電システムとは、蓄電池を用いて一般家庭で使用する電気を蓄えておく装置です。蓄電池は、以前は高価でサイズも大型なものがほとんどだったため、産業用に用いられることが多く、一般家庭にはあまり馴染みのないものでした。近年、リチウムイオン電池の技術が進歩したことなどにより、小型化・低価格化が進んだことで、一般家庭でも使用可能な性能・大きさの蓄電池が実用化され、家庭用蓄電システムの普及が進みました。
家庭用蓄電システムが用いられる主な用途は、太陽光発電です。太陽光発電システム単体では電気を貯めておくことができないため、太陽が出ていない夜間や悪天候時は発電した電気を使用することができません。しかし、家庭用蓄電システムを併設することで電気を貯めておけるため、夜間や悪天候時でも発電した電気を使うことができるようになります。
家庭用蓄電システムの種類
家庭用蓄電システムには大きく分けて「定置式」と「移動式」の2種類があります。
定置式は設置スペースを確保した上で固定して使用するもので、移動式と比べて容量が大きく、太陽光発電システムと組み合わせて省エネ効果を高めるという用途に十分対応できます。
移動式は持ち運びができるため、災害時には非常に役立ちます。しかし、家庭用として使用する場合、移動式では容量不足になるため、太陽光発電システムに併設する場合は固定式の家庭用蓄電システムをお勧めします。
家庭用蓄電システムの役割とメリット
発電した電気を蓄えて、必要な時に電気を供給する
前述のとおり太陽光発電システムだけでは、電気を貯めておくことはできませんが、蓄電システムを連携させることで、太陽光発電によって生み出した電気を蓄え、好きな時に使うことができるようになります。この役割が家庭用蓄電システムのベースであり、以下で紹介するさまざまなメリットをもたらしてくれます。
災害などによる停電時に電気を供給する
災害時など停電が発生した場合でも、家庭用蓄電システムがあれば貯めておいた電気を使えるようになります。2011年に発生した東日本大震災以降、災害への意識が高まり、家庭用蓄電システムへの注目が高まりました。最近のものでは、2019年に発生した台風15号の際、東京電力管内だけで約85万軒が停電になっています。
日本は災害が非常に多い国であり、毎年のように自然災害による停電が起きています。日本において、災害への備えという役割を果たす点は非常に大きなメリットではないでしょうか。
電気料金を節約する
電力会社のプランによっては、時間帯によって電気代が変わってきます。一般的には夜間の方が安く、日中の方が高くなります。電気料金の安い夜間に電気を蓄えて、電気料金の高い昼間に電気を使うことで、電気料金を抑えることができます。
家庭用蓄電システムの補助金
家庭用蓄電システムの補助金には、環境省の「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金」という制度があります。これは太陽光発電と家庭用蓄電システムの組み合わせを支援することで、災害時に停電が長期化した場合に備え、エネルギー供給源の分散化の実現を目的としたものです。
災害対策のために設定された補助金であるため、太陽光発電(10kW未満)との併用が条件に組み込まれており、金額は最大で60万円です。詳しい条件などはホームページをご覧下さい。
(一般社団法人 環境共創イニシアチブ https://sii.or.jp/kateichikudenchi31/)
2019年度の交付申請は7月21日受付分をもって終了しており、2020年12月現在追加公募の案内はされていません。あらかじめ予算が設定されているため、上限に達した時点で受付終了になります。利用する場合はこまめに最新の情報をチェックし、来年度の受付が開始したら予算の上限に達する前に申請を行いましょう。
まとめ
太陽光発電の効果を最大限発揮するためには、家庭用蓄電システムが不可欠といっても過言ではありません。特に、災害時の非常電源として太陽光発電を用いる場合や売電を行う場合、家庭用蓄電システムは必須になります。
これから太陽光発電を導入する方も、すでに太陽光発電を導入していて蓄電システムを併設するか迷っている方も、メリットを考慮した上で、蓄電システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。